相続税申告で建物更生共済(建更)がある場合の注意点と実務ポイント

はじめに

相続税申告の際、被相続人がJA共済(農協系)の建物更生共済(建更/たてこう)に加入していた場合、通常の火災保険や地震保険とは異なる独特な税務取扱いが必要になることをご存知でしょうか。
契約者・掛金負担者・建物所有者(被共済者)の組み合わせ次第で、相続税の課税額や評価方法が大きく変わるため、事前の正確な判断が欠かせません。

「建更があるけど、どう申告すればいいのかわからない」
「評価額の根拠をどうやって取得すればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方は、申告期限に余裕があるうちに専門家へご相談ください。初回相談は無料で行っています。

建物更生共済(建更)とは?

建更は、JA共済が提供する建物に関する損害保険の一種で、火災保険や地震保険に似ています。
ただし大きな違いは、掛け捨て部分に加えて積立部分があることです。
この積立部分が存在するため、解約時には解約返戻金が戻ってきます。相続税評価の際には、この解約返戻金相当額をどう取り扱うかが重要なポイントになります。

相続税の課税関係|5つの代表的パターン

1. 契約者・掛金負担者・建物所有者がすべて被相続人

  • 課税関係:相続財産として相続税の対象
  • 評価額:死亡時点の解約返戻金相当額
  • 実務ポイント:JA共済から「共済契約解約返戻金相当額等証明書」を取得して申告書に添付

2. 契約者・掛金負担者が相続人、建物所有者が被相続人

  • 課税関係:相続税の対象外
  • 評価額:なし
  • 理由:掛金を負担したのが相続人であるため、被相続人の財産には含まれない

3. 契約者・掛金負担者が被相続人、建物所有者が相続人

  • 課税関係:相続財産として相続税の対象
  • 評価額:死亡時点の解約返戻金相当額

4. 契約者・建物所有者が相続人、掛金負担者が被相続人

  • 課税関係:掛金総額を「生前贈与加算対象期間分について」を相続財産に加算
  • 評価額:生前贈与加算対象の掛金総額
  • 注意点:生命保険のように「契約者=保険料負担者」とはならないため、掛金ごとに贈与があったものとして整理

5. 契約者・建物所有者が被相続人、掛金負担者が相続人

  • 課税関係:相続財産として相続税の対象(死亡時解約返戻金相当額)
  • 注意点:贈与税と相続税の二重課税的な関係になるケースもある可能性がございます。

生前の契約者変更と税務

  • 生命保険契約では契約者変更時に課税関係は発生しませんが、建更は異なります
  • 建更は、契約者変更時点で解約返戻金相当額の贈与があったものとして贈与税課税される可能性があります(相続税法5条の対象外)。

契約者と共済金受取人が異なる場合

  • 生命保険:贈与税課税(相続税法5条)
  • 建更:贈与税課税ではなく、受取人に所得税(一時所得)が課税
    ※掛金は必要経費に算入可能

実務での注意点

  • 契約形態を正確に把握することが第一歩
    (契約者・掛金負担者・建物所有者の確認)
  • JA共済への証明書発行依頼を早めに行う
  • 生命保険と同じ感覚で処理しない(課税タイミングや対象が異なる)
  • ケースによっては国税庁質疑応答事例や実務慣行を確認

まとめ

建物更生共済は、契約形態や掛金負担者の違いによって相続税の課税関係が大きく変わります。
誤った判断をすると、本来払わなくてよい税金を納めてしまうリスクや、申告漏れで追徴課税を受けるリスクがあります。

おわりに

建更が絡む相続税申告は、生命保険や通常の火災保険とは異なり、専門的な判断が必要です。
特に契約者や掛金負担者が複雑に入り混じっている場合、自己判断は危険です。

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