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はじめに
このページでは相続税の基礎知識についてお話しをします。
“相続税”と聞くと、「我が家はそんなに大層な財産を相続したわけじゃないから、相続税なんて関係ないよ。」なんて、思われるかも知れませんね。
ところが、国税庁の発表によりますと、令和3年中に亡くなった人のうち、相続税申告が必要だった人の割合は、9.3%となり、過去最高を更新しています。
近年の少子化や平成25年度税制改正で基礎控除額が引き下げられたことにより、今や相続税申告は富裕層だけのものではなくなりました。
本稿を最後まで読んでいただくと、ご自身の相続で相続税申告が必要か、必要でないかについての理解が深まりますので、是非最後までお読みください。
相続税とはどのような税金なのでしょう
相続や遺贈を受けた人は、亡くなった人(以下被相続人といいます)が築いてきた財産を、相続のタイミングで引き継ぎます。つまり、相続や遺贈を受けた人は、相続によって財産を取得するのですから、そこに担税力が生じることを課税原因として、相続税が課税されることになります。
また、被相続人から生前、相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得した場合は、その財産も相続財産に加算して計算することになります。
相続税は、取得した財産の価額に応じて、累進税率により、税額が段階的に高くなる仕組みとなっており、最高税率は55%となります。
相続税の申告について
相続税の申告が必要な場合とは
相続によって、財産を取得した人全員が相続税の申告書を提出しなくてはいけない、ということではありません。
それでは、どのような場合に、相続税の申告をしなければならないか、について説明いたします。
相続税法第27条によりますと、被相続人から相続または遺贈、および相続時精算課税にかかる贈与により財産を取得したすべての人の課税価格の合計額が遺産にかかる基礎控除額を超える場合には、その財産を取得した人は相続税の申告書を提出しなくてはいけない、と規定されています。
また、配偶者の税額軽減の適用を受けようとする時には、たとえ配偶者の税額軽減を適用すると税額が算出されない場合であっても、申告書を提出しなくてはいけません。
遺産にかかる基礎控除額の算式
遺産にかかる基礎控除額とは、次の算式で計算します。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、法定相続人が3人の場合の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×3)=4,800万円となります。
相続税申告書の提出期限
それでは、相続税の申告書は、いつまでに提出すれば良いのでしょうか。
相続税の申告書を提出しなければならない人は、その相続の開始があったことを知った日から10か月以内に、相続税の申告書を提出しなくてはいけません。
「その相続の開始があったことを知った日」とは、身近な方であれば、ご逝去日をご存知でしょうから、ご逝去日から10か月以内となります。
例えば、2月1日に相続の開始があったことを知った人であれば、12月1日(12月1日が土日の場合は、月曜日となります。)までに相続税の申告書を提出しなくてはいけないことになります。
相続税申告書の提出先
相続税申告書の提出先は、被相続人が死亡した時の住所地を所轄する税務署へ提出することとされています。
相続税の申告書を提出する必要がある人の住所地を所轄する税務署ではありませんのでご注意ください。
相続税の納税のしかた
相続税は、相続税の申告書の提出期限までに納税をしなくてはいけません。
この期限までに納税をしなかった場合には、遅れた期間に応じて延滞税がかかります。
また、納付書に所定の事項を記載したうえで、その納付書を金融機関の窓口や税務署の窓口に提出して納税をします。
ただし、取得する財産によっては、換金が困難な不動産である場合など、相続税の申告期限までに納税をすることが困難な場合もあります。このような場合の救済制度として、延納や物納という制度もあります(内容につきましては、複雑ですので、お問い合わせください。)。
相続税の計算のしかた
ここで、相続税の計算のしかたについて説明いたします。
相続税の計算は、次のようにして計算します。
(1)遺産総額※1-非課税財産※2+相続時精算課税制度にかかる贈与財産-債務葬式費用※3+相続開始前3年以内の贈与財産=課税価格の合計額
(2)課税価格の合計額-基礎控除額=課税遺産総額
図解すると、以下のようなイメージです。
(国税庁ホームページより)
(3)課税遺産総額×法定相続人の法定相続分×相続税の税率=各人の相続税額
(4)各人の相続税額の合計額×各人の課税価格/課税価格の合計額=各人の取得財産に応じた相続税額
※1. 土地や預貯金、有価証券など金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべて
※2. 生命保険金の非課税、死亡退職金の非課税、墓所、霊廟、祭具等
※3. 相続開始時において確実とみとめられるもの
まとめ
今回は、相続税の基礎知識や相続税の申告について解説いたしました。
ご逝去から10か月以内に相続税の申告書を提出しなくてはいけないことを説明いたしましたが、10か月という期間は長いようで実はあっという間に過ぎてしまいます。
それまでの間に、相続財産を確定させ、誰がどのように取得するかを話し合う、遺産分割協議も必要となります。相続人が遠方に住んでいる場合などは、全員が一同に会して話し合う機会も少なくなりますので、遺産分割協議もタイミングが大切となります。
また、遺産分割協議は、長引いたり、まとまらなかったりすることもありますので、早目に準備をしていくことが大切です。
そこで、相続税申告書の提出期限までに、何をどのようにすすめるか、タイムスケジュールを立てることをオススメします。
このように、相続税申告においては、様々な注意点もありますので、相続税申告についてご不明なことやご心配なことがございましたら、なるべく早い時期に、税理士などの専門家へご相談されることをおすすめします。
当事務所では、無料相談を行っておりますので、相続税の経験豊富な当事務所へお問い合わせください。