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はじめに
相続税申告にあたり、債務控除という制度をご存じでしょうか?
債務控除とは、被相続人(亡くなった方)が亡くなる時点で負っていた借金や未払金などを、相続財産から差し引くことができる制度です。この控除を適切に活用することで、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
今回は、家族が生前に立て替えていた医療費なども、この債務控除の対象となるのかどうかを詳しく解説いたします。実は、相続人の方も税理士も見落としがちな重要ポイントなのです。
そもそも債務控除とは?
相続税の計算上、被相続人が亡くなった時点で確定していた借金や未払金などの債務は、財産から差し引いて課税対象額を減らすことができます。これを「債務控除」と呼びます。
主な債務控除の対象となるものには、以下のようなものがあります:
- 病院への未払医療費
- クレジットカードの利用残高
- 水道光熱費の未払分
- 住宅ローンや事業借入金
- 税金の未納分
- 相続人が立て替えた被相続人の医療費(条件あり)
また、葬儀費用についても、被相続人の死亡後に発生した費用であるにもかかわらず、例外的に控除対象とされることがあります。
家族が立て替えた費用も債務控除できる?
債務控除の対象になります
家族が被相続人のために支払った費用、たとえば医療費を被相続人の代わりに一時的に立て替えた場合、それは「被相続人が家族に対して返済すべき債務」であるとみなされます。
そのため、立替金は相続税の計算において債務控除が可能です。
こんなケースは要注意!
- 高齢の被相続人が外出困難で預金の引き出しができない
- 家族が被相続人の代わりに病院や介護施設に支払い
- 水道光熱費、電話代、生活用品などを家族が一時負担
これらの支出について、**「家族が負担した=返してもらうべき立替金」**という認識を持つことが重要です。
「立替金」と「扶養義務」はどう違うのか?
ここでよくある誤解があります。
「親のために支払ったお金は“家族だから当然”では?」
「扶養義務があるのだから、立替ではなく仕送りでは?」
これはもっともな疑問ですが、相続税の世界では事情が異なります。
被相続人に十分な財産があり、経済的に自立していた場合、家族の支出は“扶養義務”ではなく“立替金”として扱われることが原則です。つまり、返してもらう前提の支出であり、それは相続時に「被相続人の債務」として債務控除の対象になるのです。
債務控除を受けるために必要な証拠とは?
立替金を債務控除とするためには、家族が立て替えたという客観的な証拠が必要です。以下のような書類を用意しましょう:
- 領収書(家族名義で支払ったことがわかるもの)
- クレジットカードの利用明細
- 家族が立て替えた旨のメモや日記
- 家族名義の口座からの振込記録
証拠がなければ、税務署はそれを「扶養として無償で支払ったもの」と判断する可能性があります。
実際の相続税申告でよくある見落とし
弊所でご相談いただく中でも、下記のような事例は少なくありません:
- 家族が20万円以上の医療費を立て替えていたのに、控除漏れ
- 税理士がヒアリングで見落としていた
結果的に、申告した相続税額が過大になってしまい、本来払わなくてよい税金を納めていたというケースもあります。
おわりに
家族が立て替えた費用も、きちんと主張すれば正当に控除できる債務です。
しかし、相続税申告の経験がないご家族や、一般的な税理士が見落とすことは決して珍しくありません。
相続税の申告は一生に一度の経験であり、一度納めてしまった税金を取り戻すのは非常に困難です。
そこで、私たちのような相続税専門の税理士に相談いただくことが、最終的に最も大きな節税と安心につながります。
「もしかして立て替えたお金、控除できたかも?」
「税理士に依頼していたけれど、ヒアリングが甘かったかも…」
そんな方は、相続税に精通した税理士へ一度ご相談ください。
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税理士 久保 亮太のプロフィール