このページの目次
はじめに
医療法人の理事長やご家族の方から「出資持分の評価が高すぎて相続税が高額になるのではないか」といったご相談をいただくことがあります。
医療法人の出資持分は、配当や自由な運用が制限される一方で、相続税評価額が非常に高くなりやすいという特徴があります。特に、長年黒字経営を続けてきた医療法人ほど、出資持分の評価額が高額になることも珍しくありません。
しかし、適切な対策を講じることで、この出資持分評価を大きく引き下げることが可能です。
本記事では、医療法人の出資持分評価が高額となる理由から、その引き下げ方法までを解説します。
相続対策にお悩みの方は、初回無料相談をぜひご利用ください。
医療法人の出資持分が高額になる理由
医療法人は、一般の株式会社とは異なり、医療法により「配当の禁止」や「収益事業の制限」といった制約を受けています。
主な制約
- 配当不可:株主(出資者)に利益を分配できないため、利益が法人内に留まり続け、内部留保が増加
- 収益事業の禁止:不動産投資や株式投資による純資産の圧縮が不可
- 資産の固定化:長年蓄積された利益が純資産として計上され、評価額上昇につながる
これらの事情により、同規模の株式会社と比較しても、医療法人の出資持分は非常に高額になりやすいのです。
出資持分の評価を引き下げる3つの対策
評価額を下げるための代表的な方法は以下の3つです。
①利益を圧縮する
利益を抑えることで、相続税評価方式である「類似業種比準価額方式」における評価を引き下げることが可能です。
主な方法
- 大規模修繕の実施:建物の現状回復にかかる費用は全額損金処理可能
- 役員退職金の支給:引退時に功績倍率で退職金を支給し、利益と純資産を同時に圧縮
- 不良資産の除却:不要な医療機器などを除却して固定資産除去損を計上
- MS法人への利益移転:病院所有の不動産をMS法人に移し、賃料等により医療法人の利益を削減
※節税目的での不適切なMS法人スキームは税務否認リスクがあるため、必ず専門家に相談を。
【注意点】
- 評価対象日の直前事業年度の利益が基準となるため、スケジュール管理が重要です。
②純資産を圧縮する
純資産は評価額に大きく影響します。圧縮することで類似業種比準価格だけでなく純資産価額方式による評価も引き下げられます。
主な方法
- 病院の建て替え:3年超前に建て替えれば、固定資産税評価額ベースで圧縮効果大
- 役員退職金の支給:利益圧縮と同時に純資産も減少
③「特定の評価会社」への該当を回避する
評価会社として「比準要素数1の会社」と判断されると、類似業種比準価格25%、純資産価額75%で評価され、大幅な高額評価となる危険性があります。
対策ポイント
- 利益を圧縮しすぎない(赤字化しない)
- 適切な利益と純資産のバランスを維持する
おわりに
出資持分の評価が高額になると、相続税負担は数千万円規模になることもあります。
ですが、本記事でご紹介したように、医療法人の特性を理解した上で適切な対策を行えば、評価額を引き下げることは可能です。
- 病院建て替えなどの物理的対策
- 適正な役員報酬・退職金設計
- MS法人との健全なスキーム構築
など、医療法人に特化した視点での実行が必要不可欠です。
当事務所では、医療法人に精通した税理士が相続税の視点から無料相談を実施しております。
「うちは大丈夫だろうか?」
「いつ、何から始めれば良いのか分からない…」
そんなお悩みをお持ちの理事長・ご家族の皆さま、ぜひお気軽にご相談ください。
福岡を中心に北海道から沖縄までの全国を対応しております。
来所又はオンラインによるビデオ電話(Zoomなど)による初回無料相談を実施しております。
お気軽にお問い合わせください。

福岡市博多区にある久保税理士事務所では、相続税申告や事業承継、生前の節税対策など、個人・法人を問わず幅広いご相談を承っております。
初回のご相談は無料で受け付けておりますので、不安や疑問をお持ちの方も安心してお問い合わせいただけます。
福岡県全域はもちろん、佐賀県、山口県、長崎県、大分県、熊本県など九州各地、さらには全国からのご依頼にも対応可能です。また、オンライン面談にも対応しておりますので、遠方の方もお気軽にご相談ください。
税理士 久保 亮太のプロフィール