議決権割合に基づく評価方式の選定:同族株主がいない会社の場合

はじめに

同族株主がいない会社における株式評価は、株主の議決権割合や役職に応じて異なる評価方式が適用されるため、非常に複雑です。このコラムでは、特定の株主が保有する株式の評価方法について、どのように適切な方式を選択すべきかを解説します。

同族株主のいない会社のうち特定の者が取得した株式の評価とは

同族株主がいない会社における株式評価について、特定の株主が保有する株式の評価方法は、議決権割合に基づいて慎重に判断する必要があります。

まず、同族株主がいない会社であっても、株主グループの議決権割合が合計で15%以上の場合、その株主グループに属する株主の株式は、原則的評価方式によって評価されるのが基本です。しかし、このグループ内に「中心的な株主」が存在する場合、その「中心的な株主」以外の株主で議決権割合が5%未満の株主については、原則的評価方式ではなく、配当還元方式を用いて評価されることがあります。

ただし、注意が必要なのは、該当する株主が課税時期に評価会社の役員である場合や、課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員に就任した場合には、原則的評価方式による評価が適用されるという点です。同じ会社の株式であっても、株主ごとの議決権割合によって評価方法が異なるため、適切な評価方法の選定が重要です。

同族株主がいない会社であっても、株主グループの議決権割合が合計で15%未満の場合、その株主グループに属する株主の株式は、配当還元方式によって評価されます。

このように、株式評価においては各株主の議決権割合を正確に把握し、それに応じた評価方式を慎重に判定することが求められます。

区分株主の態様評価方式


同族株主のいない会社


議決権割合の合計が15%以上の株主グループに属する株主
取得後の議決権割合が5%以上の株主

原則的評価方式

取得後の議決権割合が5%未満の株主
中心的な株主がいない場合

中心的な株主がいる場合
役員である株主又は役員となる株主
その他の株主配当還元方式
議決権割合の合計が15%未満の株主グループに属する株主

中心的な株主とは

課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち、いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。

おわりに

同族株主がいない会社の株式評価では、議決権割合や役職など、多くの要素を考慮する必要があります。正確な評価を行うためには、適切な評価方法を選定し、慎重に判定することが求められます。評価の際には専門家の助言を仰ぐことをおすすめします。

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