Archive for the ‘コラム’ Category

公社債の評価方法と注意点を徹底解説

2024-06-08

はじめに

相続によって国債や社債を相続した場合にはどのような評価するのでしょうか。
公社債を評価する場合には額面金額や利息などについて細かい取扱いがあります。

今回、公社債の評価方法についてまとめましたのでご説明します。

上場株式の相続税評価方法について「上場株式を相続した場合の評価方法と注意点とは?」を紹介しておりますので参照下さい。

公社債の相続税評価

利付公社債の評価

利付公社債とは、定期的に利子が支払われる債券で、利払いは年間の一定期日に、その債券に付された利札(クーポン)を切り取って行われます。利付公社債は、次の①から③の区分に従い、評価します。

① 金融商品取引所に上場されている利付公社債

(課税時期の最終価格+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額)×券面額/100円=評価額

(注1)上記算式中の「最終価格」および「源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額」は、券面額100円当たりの金額です。

(注2)上記算式中の「最終価格」は、日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債である場合には、金融商品取引所が公表する「最終価格」と日本証券業協会が公表する「平均値」とのいずれか低いほうの金額となります。

(注3)上記算式中の「源泉所得税相当額」には、特別徴収されるべき道府県民税相当額および復興特別所得税の額に相当する金額を含みます(以下、②および③も同様です)。

② 日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債(上場されているものを除く。)

(課税時期の平均値+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額)×券面額/100円=評価額

(注)上記算式中の「平均値」および「源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額」は、券面額100円当たりの金額です。

③ その他の利付公社債

(発行価額+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額)×券面額/100円=評価額

(注)上記算式中の「発行価額」および「源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額」は、券面額100円当たりの金額です。

なお、個人向け国債は、課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において中途換金した場合に取扱機関から支払いを受けることができる価額により評価します。

割引発行の公社債

割引発行の公社債とは、券面額を下回る価額で発行される債券です。券面額と発行価額との差額(償還差益)が利子に相当する部分に当たります。割引発行の公社債は、次の①から③の区分に従い、評価します。

① 金融商品取引所に上場されている割引発行の公社債

課税時期の最終価格×券面額/100円=評価額

(注1)上記算式中の「最終価格」は、券面額100円当たりの金額です。
(注2)上記算式中の「最終価格」は、日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されたものである場合には、金融商品取引所が公表する「最終価格」と日本証券業協会が公表する「平均値」とのいずれか低いほうの金額となります。
(注3)課税時期において割引発行の公社債の差益金額に係る「源泉所得税相当額」がある場合には、その金額を控除します。また、「源泉所得税相当額」には、特別徴収されるべき道府県民税相当額および復興特別所得税の額に相当する金額を含みます(以下、②および③も同様です)

② 日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(上記①および割引金融債を除く。)

課税時期の平均値×券面額/100円=評価額

(注)上記算式中の「平均値」は、券面額100円当たりの金額です。

③ その他の割引発行の公社債

{発行価額+(券面額-発行価額)×発行日から課税時期までの日数/発行日から償還期限までの日数}×券面額/100円=評価額

(注)上記算式中の「発行価額」は、券面額100円当たりの金額です。

おわりに

相続人が公社債の名義変更を行うには遺産分割が成立しないと名義変更することができません。公社債の相続税評価について利付公社債又は割引公社債などを判定し、どのような計算になるのか判断する必要があります。また、外国債券の相続税評価額には為替換算などの計算が必要になるため手間がかかります。
当事務所では来所又はオンラインによるビデオ電話(Zoomなど)による初回無料相談を実施しております。
福岡を中心に札幌から那覇までの全国を対応しております。
お気軽にお問い合わせください。

土地を使用貸借と賃貸借する場合の違いとは

2024-06-01

はじめに

被相続人が所有していた土地を無償により貸している場合(使用貸借)と有償で貸している場合(賃貸者)があります。
土地を評価する際に使用貸借により貸している場合と賃貸借している場合では相続税評価額が異なります。
今回は土地を評価する際の賃貸借と使用貸借の違いについて解説します。

(さらに…)

大規模工場用地の相続税評価に関する注意点

2024-05-30

はじめに

土地を評価する際に広大な工場用地で所有しているケースがあります。
広大な土地であるために評価額が大きいことが懸念されるのではないでしょうか。
また、どのような評価方法なのか、補正率などがあるのか気になることがあるでしょう。
今回は大規模工場用地の評価方法についてまとめましたのでご説明します。

(さらに…)

令和7年1月から申告書控えの収受印が廃止となります

2024-05-23

はじめに

国税庁は納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX))を進めているところです。
 こうした中、e-Tax利用率は向上しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれることや、DXの取組の進捗も踏まえ、国税に関する手続等の見直しの一環として、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないこととしました。
今回は令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印についてまとめましたのでご説明します。

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相続税申告の路線価はいつのものを使うのか

2024-05-18

はじめに

当事務所では相続税のご相談を受けることが多いです。特に土地を相続したらいつ時点の路線価を使えばよいのか迷う方は多いのではないでしょうか。
また、相続が発生した方で早々に相続税の申告を終わらせたい方もいらっしゃいます。
今回は土地評価におけるいつの路線価を使うのかについてまとめましたのでご説明します。

(さらに…)

沖縄の軍用地を相続した時の評価とは

2024-05-14

はじめに

軍用地を相続したら相続税はかかるのか気になる方はいらっしゃるのではないでしょうか。

軍用地とは、沖縄県内の自衛隊基地や米軍基地内の土地のことを指します。

沖縄県では国と賃貸借契約を結ぶ軍用地主は約52,400人(駐留軍用地特措法の対象者を除く。)にいらっしゃいます。

軍用地については国が所有者から借りて、国は所有者に対して借地料を支払っています。

軍用地を相続・贈与したら、どのような相続税評価額によって計算するのでしょうか。

今回、軍用地の相続税評価についてまとめましたのでご説明します。

軍用地の相続税評価について

軍用地の相続税評価(原則)

固定資産税評価額×公用地用の倍率×(1-40%)=軍用地の相続税評価額

公用地の定義は沖縄県における土地で下記の通りになります。
(1)アメリカ合衆国の軍隊の用に供されている土地
(2)自衛隊の施設の用に供されている土地
(3)那覇空港施設の用に供されている土地
(4)未買収となっている国道、県道、市町村道で賃貸されている土地及び返還された陸軍貯油施設のうち通称パイプラインの用に供されていた土地で道路の用に供されている土地

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額は、毎年4月~5月頃に市区町村から送付される固定資産税の課税明細書を確認することによって把握することができます。また、固定資産税の課税明細書を紛失している場合には市役所等で固定資産税の評価証明書や名寄帳を取得することによって確認できます。

公用地用の倍率とは

公用地用の倍率は国税庁より公表されております。

https://www.rosenka.nta.go.jp/main_r05/okinawa/okinawa/pref_frm.htm

※上記は令和5年分のものですが、相続開始年又は贈与年によって対象となる年分を選択する必要があります。また、財産評価基準書は毎年7月頃に公表されます。

公用地用の評価倍率は登記簿上の地目に対応する倍率で判定します。
土地の相続税評価を計算する際には通常は現況地目ですが、軍用地を評価する際には登記簿上の地目となるため注意が必要です。
登記簿上の地目を確認するには法務局で登記簿謄本を取得することによって確認することができます。
また、「登記簿上の地目」については、公用地に供された後、課税時期までの間に登記簿上の地目が変更されている場合には、公用地に供された時の登記簿上の地目で判断します。

軍用地の相続税評価(特例)

伊江村・恩納村・宜野座村・金武町・国頭村・久米島町の公用地については、その公用地に係る固定資産税評価額の評価上の地目が課税時期における登記簿上の地目と異なる場合には、その公用地が登記簿上の地目であるとした場合の固定資産税評価額に相当する価額に、課税時期における登記簿上の地目に対応する「公用地用の評価倍率表」の倍率を乗じて計算した金額によって評価する必要があります。
登記簿上の地目に対応する固定資産税評価額は役所等で確認する必要があります。

軍用地の相続税評価(特例)

軍用地について返還予定がある場合については「40%」で計算されるのではなく返還までの年数によって変わります。
残存期間が10年以下のもの:5%
残存期間が10年を超え15年以下のもの:10%
残存期間が15年を超え20年以下のもの:20%
残存期間が20年を超え25年以下のもの:30%
残存期間が25年を超え30年以下のもの:40%
残存期間が30年を超え35年以下のもの:50%
残存期間が35年を超え40年以下のもの:60%
残存期間が40年を超え45年以下のもの:70%
残存期間が45年を超え50年以下のもの:80%
残存期間が50年を超えるもの:90%

軍用地の相続税評価(特例)

返還された公用地の評価としては「公用地用の評価倍率表」に掲げる公用地が年の途中で返還された場合は、返還日以降は個別に評価します。

おわりに

今回は軍用地の相続税評価について解説しました。
地主様の財産構成として、土地の占める割合が大きい傾向があります。土地の占める割合が大きいと納税資金が不足したり、相続対策について考える必要があります。
当事務所では来所又はオンラインによるビデオ電話(Zoomなど)による初回無料相談を実施しております。
福岡を中心に札幌から那覇までの全国を対応しております。
お気軽にお問い合わせください。

札幌の税務署へ相続税の無料相談をする前の事前準備と注意について

2024-05-10

はじめに

相続税の無料相談をする際に税務署を検討する方は多いのではないでしょうか。例えば、札幌市であれば札幌北税務署、札幌中税務署、札幌西税務署、札幌東税務署、札幌南税務署へ相談することになります。
ここでは、相続税の無料相談を検討されている方のために、事前に知っておくべきことや注意点などについて説明します。

(さらに…)

北海道における相続税の課税状況について

2024-05-08

はじめに

相続税の基礎控除が改正されてから9年経過しました。相続税申告はどのような状況なのでしょうか。

国税庁が公表している統計資料では平成27年以前は約4.4%でしたが、令和4年の統計資料では約9.6%に増加しております。実際に課税があった被相続人の数は約10人のうち約1人が課税されたことになります。

今回は北海道における相続税の課税状況について解説します。

(さらに…)

記帳代行サービス利用時の注意点とは

2024-05-07

はじめに

事業を行っていると色んな方と仕入から売上などの取引が発生します。取引が発生する都度、その取引の内容について帳簿に記載する必要があります。取引が多くなればなるほど、帳簿に記載する仕訳数も多くなります。仕訳数が多くなると記帳の手間や領収書などの整理に時間がかかります。

その際に役に立つ方法が税理士へ記帳代行を依頼することです。

今回、税理士の記帳代行についてまとめましたのでご説明します。

(さらに…)

土地評価を見直して還付された成功事例

2024-05-06

はじめに

相続税の申告を終えて、税務署が相続税を払いすぎていても過払いについて連絡が来ることはありません。

相続税を納付した方が、払いすぎた相続税について税務署へ更正の請求手続き(還付申請)を行うことによって還付することができます。

相続税の更正の請求手続きについては別の記事で紹介しました。

相続税の更正の請求手続きについては相続税の法定申告期限から5年以内に手続きを行う必要があります。

今回、相続税の還付事例についてまとめましたのでご説明します。

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