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はじめに
「相続した土地や建物にどれくらいの相続税がかかるのか、正確にわからない…」
「固定資産税の金額と相続税評価額は違うの?」
このようなお悩みを抱える方は少なくありません。特に不動産は財産の中でも金額が大きく、評価方法を誤ると相続税の金額に大きく影響を及ぼします。
この記事では、不動産の相続税評価額の基本から、土地や建物の評価方法、特殊なケースの取り扱いまで詳しく解説します。最後には、相続税評価を専門家に依頼するメリットについても触れておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
相続税評価額とは?
相続税評価額とは、相続税を計算する際の基準となる財産の評価額のことをいいます。現金のように額面が明確な資産と異なり、不動産や有価証券などは時価の判断が必要になります。そこで、国税庁が定めたルールに基づいた評価額(=相続税評価額)を用いて課税額を算出します。
不動産の場合は、次のように評価が分かれます。
- 土地:路線価方式または倍率方式
- 建物(家屋):固定資産税評価額を基準に計算
土地の評価額を計算する2つの方式
路線価方式(都市部など路線価がある地域)
「路線価」とは、道路に面する標準的な宅地1㎡あたりの評価額で、国税庁が毎年7月に発表しています。
この金額に、土地の形状や奥行きによる「補正率」を掛けて評価額を出します。
計算式:
評価額 = 路線価 × 補正率 × 土地面積(㎡)
具体例:
- 路線価:42万円/㎡
- 補正率:0.92(奥行価格補正など)
- 土地面積:100㎡
- 評価額:42万円 × 0.92 × 100㎡ = 3,864万円
路線価は、国税庁の「路線価図・倍率表検索」サイトから無料で確認できます。
https://www.rosenka.nta.go.jp
倍率方式(郊外や農地など)
路線価が設定されていない地域では、「固定資産税評価額」に「倍率」を掛けて評価します。
計算式:
評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率
具体例:
- 固定資産税評価額:1,500万円
- 倍率:1.2
- 評価額:1,500万円 × 1.2 = 1,800万円
倍率も、路線価と同様に国税庁の倍率表で確認できます。
建物の相続税評価額の出し方
建物(住宅やアパートなど)の評価は、原則として固定資産税評価額と同じです。
計算式:
評価額 = 固定資産税評価額 × 1.0
これは住宅でも店舗でも共通です。
固定資産税評価額は、毎年4月頃に市区町村から届く「固定資産税の納税通知書」の**「価格」欄**に記載されています。
貸している不動産の評価方法に注意!
以下のような賃貸中・貸付中の不動産は、評価額が下がるケースがあります。
貸家建付地(自分の土地に賃貸アパートなどがある)
建物に借り手がいることで、自由な利用に制限があるため、評価額を減額します。
計算式:
評価額=(1-借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)× 自用地評価額
- 借地権割合:地域ごとに30~90%(路線価図に記載)
- 借家権割合:全国一律30%
- 賃貸割合:建物の延床面積のうち、貸している割合
例:
- 自用地評価額:5,000万円
- 借地権割合:70%
- 借家権割合:30%
- 賃貸割合:100%
→ 評価額=5,000万円 ×(1-0.7×0.3)= 3,950万円
貸家(建物を第三者に貸している)
建物に借家権がつくため、建物自体の評価額も下がります。
計算式:
評価額=(1-借家権割合)× 固定資産税評価額 例:評価額2,000万円、借家権割合30%
→ 2,000万円 × 0.7 = 1,400万円
自分で試算するための準備・流れ
必要書類
- 固定資産税の納税通知書(価格確認用)
- 登記簿謄本(面積・権利確認)
- 国税庁の路線価図・倍率表(Web)
試算のステップ
- 不動産の所在地を確認(評価方式の判定)
- 面積と路線価または倍率を調べる
- 建物の固定資産税評価額を確認
- 特殊な事情(賃貸中、借地権等)がないか確認
- 上記をもとに評価額を算出
相続税対策としてのポイントと注意点
- 評価額が高い=税額が高くなるため、貸家建付地・小規模宅地の特例等で節税できるか検討を
- 自分で試算する際は、誤った補正率や評価方法を使わないよう要注意
- 評価額によっては、相続人間の公平性・トラブルにもつながるため、事前の確認が重要
おわりに|不動産の評価額次第で相続税が数百万円変わることも
不動産の相続税評価額は、計算方法こそ公開されていますが、実務上は非常に複雑で専門的な判断が求められる場面も多くあります。
誤った評価で申告した場合、後から修正申告や追徴課税が発生するリスクもありますし、逆に正しく評価すれば、数百万円の節税につながることもあるのです。
「いくらくらいの相続税になりそうか知りたい」
「とりあえず不動産の評価額だけでも把握しておきたい」
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税理士 久保 亮太のプロフィール