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はじめに

大切なご家族を亡くされた後、相続が発生した場合には「相続税の申告」が必要になるケースがあります。
特に、相続財産の総額が一定の金額を超える場合には、税務署へ所定の申告書を提出しなければなりません。
相続税申告の手続きは、多くの書類を準備する必要があるため、思っている以上に時間と労力がかかるものです。相続する財産の種類によって必要な書類が異なるため、何を準備するべきか事前に理解しておくことがとても重要です。
今回は、相続税申告に必要となる書類について、分かりやすく解説いたします。
相続税申告が必要となるケースとは?
相続税の申告は、すべての相続人が必ず行うものではありません。一定の基礎控除額が設けられており、この金額を超える相続財産がある場合に申告と納税の義務が生じます。
基礎控除額の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。この金額を超えた場合は相続税の申告が必要になります。申告期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」ですので、早めの対応が求められます。
相続税申告に必要な書類の集め方
申告に必要な書類は、大きく以下の2つに分かれます。
- 相続人全員に共通して必要な書類
- 財産の内容に応じて必要な書類
書類の取得先は、市区町村役場、法務局、金融機関、証券会社、生命保険会社など多岐にわたります。書類の取り寄せには時間がかかるものも多いため、早めの準備が大切です。
相続人全員に共通して必要な書類一覧
書類名 | 入手先 | 備考 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍含む) | 本籍地の市区町村役場(2024年3月以降は最寄り役所でも取得可) | 戸籍の連続性が必要(出生から死亡までの全て) |
相続人全員の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場(2024年3月以降は最寄り役所でも取得可) | 相続人の身分関係確認用 |
相続人全員の印鑑証明書 | 各相続人の住所地の市区町村役場 | 遺産分割協議書に押印した印鑑の証明用 |
遺産分割協議書(または遺言書) | 自作または専門家依頼 | 相続人全員の署名・実印押印が必要 |
相続税申告書 | 税務署・国税庁HP | 様式は申告年による。全員共通。 |
被相続人の住民票の除票 | 被相続人の最後の住所地の市区町村役場 | 被相続人の住所地確認用 |
Ⅱ.財産の種類ごとに必要な書類一覧
1.不動産(土地・建物)を相続する場合
書類名 | 入手先 | 備考 |
登記簿謄本(全部事項証明書) | 法務局 | 最新のもの |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役場(東京都23区は都税事務所) | 評価証明年分を取得 |
公図・地積測量図 | 法務局 | 土地の現況確認用 |
賃貸借契約書 | 自宅保管 | 貸家・貸地がある場合に必要 |
2.預貯金・金融資産を相続する場合
書類名 | 入手先 | 備考 |
預金残高証明書 | 各金融機関 | 被相続人死亡日時点の残高証明 |
預金通帳のコピー | 自宅または金融機関 | 過去7年分程度が目安 |
定期預金の利息計算書 | 金融機関 | 必要な場合のみ |
3.上場株式・投資信託を相続する場合
書類名 | 入手先 | 備考 |
残高証明書 | 証券会社 | 被相続人死亡日時点の残高証明 |
配当金支払通知書 | 自宅保管または証券会社 | 必要に応じて |
4.非上場株式を相続する場合
書類名 | 入手先 | 備考 |
過去3期分の決算書 | 被相続人が保有する会社 | 決算報告書・勘定内訳書等含む |
法人税申告書一式 | 被相続人が保有する会社 | 最新分も含める |
5.生命保険金等を受け取る場合
書類名 | 入手先 | 備考 |
保険金支払通知書 | 生命保険会社 | 保険会社が発行 |
保険証書 | 自宅保管 | 契約確認用 |
6.自動車・動産・その他の資産がある場合
資産の種類 | 書類名 | 入手先 | 備考 |
自動車 | 車検証 | 自宅または陸運局 | 名義確認用 |
ゴルフ会員権 | 会員証書 | 自宅保管 | 名義確認用 |
貴金属・宝石類 | 購入時の領収書・鑑定書等 | 自宅保管または鑑定機関 | 査定書があるとベター |
死亡退職金 | 退職金支払通知書・源泉徴収票 | 勤務先 | 必要に応じて |
特例や控除を受ける際に必要な書類
例えば配偶者控除の適用を受ける場合に必要な書類
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
- 相続人全員の戸籍謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
- 遺言書又は遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
- 申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割ができない場合に要提出)
上記以外の特例や控除を受ける場合には別途書類が必要になります。
おわりに
相続税の申告は、相続財産の内容や特例の適用によって必要な書類が大きく異なります。特に不動産や金融資産、株式などが多い相続の場合は、書類の収集に時間がかかるケースが珍しくありません。
申告期限である10か月間は、葬儀や諸手続きに追われているとあっという間に過ぎてしまいます。相続が発生する前から、必要となる書類や手続きを知っておくことで、いざというときにも落ち着いて対応できます。
ご自身での手続きに不安がある場合は、相続税に精通した税理士へ相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、安心してスムーズに手続きを進めることが可能です。相続税申告の準備は、ぜひ早めにご検討ください。
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