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はじめに
決算時の節税対策を検討する際、「短期前払費用の特例」をご存知でしょうか?
この特例は、法人が支払う前払費用のうち、一定の条件を満たすものについて早期に費用計上することを可能にする制度です。特に利益が多く計上される年度において効果を発揮します。本記事では、この特例の基本的な仕組みや注意点について解説します。
短期前払費用の特例とは?
短期前払費用の特例とは、1年以内に役務提供を受ける前払費用について、支払った年度に一括して費用計上できる制度を指します。本来、前払費用は支出時に資産計上し、役務提供を受けた際に費用計上するのが原則ですが、この特例により例外的に早期に費用計上が認められます。それにより特定の年度の課税所得を抑え、税負担額の軽減につながります。
特例を適用するための要件と注意点
短期前払費用の特例を利用する際には、以下の要件を満たす必要があります。これらを正しく理解しないと、税務上の否認リスクが生じるため注意が必要です。
1. 1年以内に役務提供を受けること
費用の支払日から1年以内に役務提供が完了していることが条件です。
1年を1日でも超えると全額が否認されます。
2. 契約に基づく支払いであること
契約に基づき、継続的に支払われるものでなければなりません。月払いの契約を年払いに変更する場合、契約書や書面での承諾が必要です。
3. 等質・等量のサービスを受けていること
土地や事務所の賃料、保守サービスなど内容が毎月一定のものに限定されます。顧問料やコンサルティング費用のようにサービスが均質ではないものは適用外です。
4. 重要性の原則の範囲内であること
金額が過大であったり、収益との対応関係があるものは対象外となります。実務上、金額や内容が妥当であるか慎重に確認する必要があります。
特例活用時の注意事項
- 資金繰りの負担:適用初年度には2ヵ年分の費用を支払うことになるため、資金計画が重要です。
- 一時的な効果:特例の恩恵は適用初年度に限られます。次年度以降は通常の費用計上となるため、長期的な視点での検討が必要です。
おわりに
短期前払費用の特例は、適用することで節税効果を得られる一方、要件を満たさない場合には税務リスクが伴います。契約内容や費用の妥当性を慎重に確認し、適切に活用することが重要です。また、節税だけに目を向けず、資金繰りや中長期的な影響も見据えた経営判断を行いましょう。ご不明な点があれば、税理士に相談することをおすすめします。 弊所では、福岡を中心に北海道から沖縄までの全国を対応しております。
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