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はじめに
相続税の申告書は提出したけれど、その後「税務調査が来たらどうしよう」とお悩みではないでしょうか。また、税務調査の連絡が来ていて、どのような調査を受けるのかヒヤヒヤしている方がいらっしゃるかも知れません。
このページでは、税務調査について、詳しく説明いたします。ご自身で税務署の調査官とのやり取りがご不安な場合は、税理士へ立会いを依頼することをお勧めいたします。
相続税の税務調査(実地調査)とは
相続税の申告書が提出された後に、税務署ではその申告書の内容が正しいのかをチェックしています。税務署には、亡くなった人(以下、被相続人といいます)および、相続人の預貯金や証券会社等の金融資産関係や不動産などのさまざまな情報が収集されていて、その情報に基づき、申告書の内容に不審な点がないかを事前に検討しています。
脱税や資産隠しなどが簡単にできないように、税務署では厳しいチェックを事前に行っているというわけです。その結果、不審な点が解消されない場合や、単純に計算誤りなどがあった場合に税務調査が行われます。
税務署から税務調査の連絡があるということは、すでに申告書の内容については充分な検討が済んでいて、何か疑問点や間違いがあった場合だということです。何もないのに、相続税の税務調査があることはまずありません。
実地調査の時期
税務署の税務調査の時期は決まっています。相続税の実地調査は、相続税申告書を提出した翌年または翌々年の8月から11月頃に行われることが多いようです。
申告書を提出した人にとって、提出してから1~2年後というのは、相続税申告の内容や、どのようにして申告書を作成したのかについても忘れかけた頃になり、税務調査の時に困ることがありますので、申告書の内容について、きちんと資料等を保管しておくようにしましょう。
ただし、税理士へ依頼した場合は、税理士が資料等を保管していますので、ご安心ください。
実地調査の流れ
相続税の税務調査の際は、事前に税務署から電話連絡があります。税理士が申告書を作成していれば、税理士へ、相続人が作成した場合は、相続人代表へ連絡があります。電話連絡の内容は以下のものです。
- 税務調査を行う旨の通知
- 日程調整の依頼
立会いができる人数に制限はありませんが、立会いができるのは、税理士および相続人となります。相続人の中で申告書を作成した人や、被相続人の財産の
内容に詳しい人が必ず出席するようにしましょう。また、税務調査が不安な場合は、この段階で税理士へ立会いを依頼することも可能ですので、立会いを依頼できる税理士を探しましょう。
日程調整した日時と場所へ税務署の調査官2名が赴きます。
通常実地調査は1日ほどかかります。時間にしますと、午前10時頃から開始し午後5時頃までには終わることが多いです。
① 調査の内容(午前中)
午前中は、税務署の調査官から聞き取りが行われます。主な内容は以下のようになります。
- 被相続人の住所、氏名、職業、出身地、学歴、職歴など
- 被相続人の家族構成、結婚歴、病歴など
- 資産形成の経緯(先祖代々からの相続財産である、会社経営をして1代で資産を形成した、投資で成功した、など)
- 被相続人の趣味や嗜好など(読書、登山、ゴルフ、酒、絵画収集など)
- 被相続人の収入源(年金、給与、家賃収入、事業収入など)
- 被相続人と取引のある金融機関、支店、担当者など
- 被相続人が生前金銭的援助をしていた人
- 被相続人が亡くなったときの状況(病名、入院先、入院期間などとその費用)
- 被相続人の配偶者、子ども、孫の状況(年齢、職業、学校、会社名など)
その他、必要に応じて(調査の目的に応じて)さまざまな聞き取りが行われます。聞き取りをした内容は、記録されます。
② 調査の内容(午後)
午前中の調査が終了すると、いったん昼食時間を1時間ほど挟んで、午後からの調査が開始されます。
午後からは、午前中に聞き取った内容をもとに、預貯金通帳や不動産権利証などの書類の提示を求められます。また、場合によっては、金庫の中や印鑑の保管場所などに案内を求められることもあります。税務調査は任意調査ですので、拒否することもできますが、拒否すると何か隠しているのではないか、と怪しまれることもありますので、できるだけ調査には協力しましょう。
③ 最終確認
調査官から事前に調査した際の不明点や実地調査における不明点などについて具体的な質問や指示があります。
それらは、書面にまとめられ、最終確認がなされ、最後に相続人が確認したということを署名押印して当日の実地調査は終了します。また、今後の調査の進め方についての説明があります。ここで、税理士がいる場合は、その後の税務署とのやりとりや折衝は税理士が行います。
税務調査がすべて終了するまでは、1か月ほどかかると思ってください。内容によっては、さらに時間がかかることもあります。最初に提出した申告書と調査内容が違う場合は、修正申告書を提出しなければいけません。
また、申告書を提出していない場合は、期限後申告書を提出しなければいけません。その際は、新たに納税することとなった本税に加えて加算税や延滞税もかかります。
税務調査にならないための対策
税務署では、相続税申告書の内容が正しいのかを厳密にチェックしています。それは、課税の公平性を保つためであり、申告漏れや脱税を許さないためです。税務調査にならないための対策は、ひとえに間違いのない申告書を作成して提出することです。
「良く分からないけど、税理士報酬が高いし」などと自分で申告書を作成してしまい、間違いや漏れがあった場合は、作成した労力以上の手間と税理士報酬以上の加算税、延滞税のペナルティがかかってしまいます。
税理士に立会いを依頼するメリット
税理士に相続税申告書の作成を依頼した場合は、税務調査の際にも税理士が立会います。相続税申告書を作成した経緯もすべて記録で残していますので、税務調査の際は、税務署の調査官の質問や資料の提示にも応じることが可能です。
また、税理士が立会うことにより、高齢の配偶者や仕事で忙しい相続人の安心にも繋がります。
まとめ
相続税の申告や調査で不安な場合は税理士に相談しよう
相続税の税務調査は大変であることがお分かりになったのではないでしょうか。相続税申告の経験が豊富な税理士であれば、相続税申告書を作成する過程で、申告漏れがないか、生前贈与がないかなどを確認していますので、単純な申告漏れ事前に防ぐことができます。
また、財産評価にも詳しいため、評価誤りも少なくなり、結果として、税務調査を受ける確率も下がります。
相続税の税務調査では、調査を受けたうちの約8割がなんらかの指摘を受け、追徴課税を支払っています。
これから申告書を作成する場合や税務調査に不安がある場合は、税理士へ相談されることをお勧めいたします。当税理士事務所では、相続税申告の経験が豊富な税理士が対応いたしますので、是非当税理士事務所へご相談ください。