経営者必見!フランチャイズ加盟金とロイヤリティの会計処理を徹底解説

はじめに

フランチャイズ(FC)は、ブランド力や経営ノウハウを提供する本部(フランチャイザー)と、その対価を支払う加盟店(フランチャイジー)の間で成り立つビジネスモデルです。本部に支払う主な費用として、契約時の「加盟金」と「保証金」、定期的に支払う「ロイヤリティ」が挙げられます。これらの費用は、正確な会計処理を行うことで経営状況を適切に把握し、税務リスクを最小限に抑えることができます。この記事では、加盟金とロイヤリティの会計処理について詳しく解説します。

フランチャイズ加盟金の会計処理

1. 長期前払費用として資産計上する場合

加盟金が20万円以上の場合は、その効果が長期間にわたることを考慮し、「長期前払費用」として資産計上します。資産計上した金額は、効果が及ぶ期間にわたって償却します。

資産計上時 仕訳例(期首)

加盟金300万円を支払った場合:

借方:長期前払費用 3,000,000円 / 貸方:現預金 3,000,000円

決算時 仕訳例(期末)

借方:長期前払費用償却 600,000円 / 貸方:長期前払費用 600,000円

※償却金額の計算:3,000,000円 × 12/60(5年償却)= 600,000円

2. 支払手数料として処理する場合

加盟金が20万円未満の場合、支出した年度に費用計上することが一般的です。この場合、勘定科目として「支払手数料」を使用します。

仕訳例

加盟金10万円を支払った場合:

借方:支払手数料 100,000円 / 貸方:現預金 100,000

消費税:加盟金は、課税仕入れとして取り扱います。

ロイヤリティの会計処理

ロイヤリティとは、加盟店が本部に対して定期的に支払う料金で、売上高の一定割合や固定額として支払われます。

ロイヤリティは、本部のブランドやノウハウの継続利用に対する対価として位置付けられます。勘定科目には「支払手数料」または「ロイヤリティ」を用います。

仕訳例(売上の3%をロイヤリティとして支払う場合)

売上1,000万円に対して3%(30万円)のロイヤリティを支払った場合:

借方:支払手数料(またはロイヤリティ) 300,000円 / 貸方:現預金 300,000円

消費税:ロイヤリティは、課税仕入れとして取り扱います。

保証金の会計処理

保証金は、加盟時にフランチャイズ本部に預ける一時金のことで、毎月の本部への支払いが滞った場合などのために一時的に預けておくいわゆる「預け金」になります。保証金は契約解除時に本部から加盟者へ返還されます。

仕訳例(支払時)

保証金を200万円支払った場合:

借方:差入保証金 2,000,000円 / 貸方:現預金 2,000,000円

仕訳例(契約解除時)

借方:現預金 2,000,000円 / 貸方:差入保証金 2,000,000円

消費税:保証金は、不課税として取り扱います。

税法上の取り扱い

  • 加盟金の税法上の扱い

税法上、加盟金は「繰延資産」として扱われます。繰延資産は、支出効果が1年以上にわたる特定の費用で、支出額を一度に損金とするのではなく、一定期間に分割して償却します。この期間は、基本的に5年(契約期間が5年未満の場合は契約期間)とされています。

また、会計上の繰延資産は「創立費」「開業費」「株式交付費」「社債発行費」「開発費」に限定されるため、勘定科目は「長期前払費用」を使用します。

  • ロイヤリティの税法上の扱い

ロイヤリティは、支払年度の損金として処理されるのが一般的です。加盟金と異なり、定期的に発生する費用であるため、税務調整を行う必要は通常ありません。

注意点と実務のポイント

  • 加盟金とロイヤリティの区別

加盟金及び保証金は初期費用であり、一度の支払いで完了しますが、ロイヤリティは継続的に支払う費用です。これらを混同せず、適切な勘定科目を使用することが重要です。

  • 正確な契約内容の把握

フランチャイズ契約には、支払い条件や割合が詳細に記載されています。経理担当者は契約内容を把握し、条件変更などが発生した場合は速やかに会計処理を見直すべきです。

  • 税務調整の必要性

加盟金については、会計処理と税法上の扱いに差がある場合、税務調整が必要になることがあります。一方、ロイヤリティは税務調整を行う必要は通常ありません。

おわりに

フランチャイズにおける加盟金とロイヤリティの処理は、それぞれの性質に応じた正確な会計処理が求められます。適切な処理を行うことで、経営状況を正しく把握し、税務リスクを最小限に抑えることが可能です。加盟金とロイヤリティの会計処理をしっかり理解し、健全な会社経営を目指しましょう。

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