建設業の税務調査で指摘されやすい項目と解決策

はじめに

税務調査は、どの業種にも起こり得るものですが、特に建設業はターゲットになりやすいといわれています。その理由は、建設業特有の会計処理の複雑さや曖昧な処理が多いことにあります。この記事では、建設業が税務調査で指摘を受けやすいポイントと、それを回避するための具体的な対策について解説します。正しい知識と準備を持つことで、予期せぬリスクを未然に防ぎましょう。

建設業が税務調査で狙われやすい理由

1. 会計処理の特性

建設業は、工事ごとに異なる原価や売上計上のタイミングが発生します。そのため、処理のミスが起きやすい業種とされています。特に、売上計上の時期や未成工事支出金が曖昧になりがちです。

2. 曖昧な帳簿付け

日々の取引記録が不明瞭であったり、書類が不足しているケースも少なくありません。このような状況は、税務調査官にとって指摘ポイントとなります。

税務調査でよく指摘されるポイント

1.売上計上のタイミングのズレ

よくある指摘例:

「売上を工事引き渡し日ではなく、請求書発行日で計上していませんか?」

問題点:

建設業では、売上は工事完了および引き渡しのタイミングで計上する必要があります(工事完成基準の場合)。

対策:

工事完了日、引き渡し日、請求書発行日をすべて記録に残す。

2. 未成工事支出金の計上ミス

よくある指摘例:

「まだ工事が完了していないにもかかわらず、原価を損金に計上していませんか?」

問題点:

未成工事支出金は、工事完了後に損金計上すべきもの。これを早期に計上すると修正申告を行う必要があります。

対策:

工事ごとに進捗状況を正確に管理し、損益計上を適切に行う。

3. 外注費と給与の混同

よくある指摘例:

「従業員への支払い(給与)を外注費として計上していませんか?」

問題点:

本来給与として計上すべき支払いを外注費としていることが税務調査で発覚した場合、消費税の追徴課税と所得税の源泉徴収漏れが指摘されます。

対策:

従業員と外注先の契約形態を明確に区別する。

4.紹介手数料(キックバック)の勘定科目ミス

よくある指摘例:

「紹介手数料等を支払手数料や外注費で計上していませんか?」

問題点:

紹介業者等ではない取引先に対しての紹介手数料等は、原則として「交際費」として処理する必要があります。交際費は原則800万円以上の金額は損金算入できないので、思わぬ税負担が発生する可能性があります。

対策:

紹介手数料等が発生した場合は契約状況の確認を行う。

税務調査に備えて

  • 書類の整備が肝要

税務調査で最も大事なのは「書類」です。工事契約書や請求書、納品書など、関連する全ての書類を正確に保管しましょう。

  • 定期的なチェックと改善

専門家に依頼して、定期的に帳簿や会計処理を確認することが重要です。これにより、早期にミスを発見し、修正することができます。

  • 情報共有と教育の強化

社内で税務に関する情報を共有し、従業員への教育を行うことで、未然にリスクを防ぐことができます。

おわりに

建設業における税務調査は、会計処理が複雑であるがゆえに発生しやすい側面があります。しかし、日々の記録や処理を正確に行い、適切な対策を講じることで、リスクを大幅に軽減することが可能です。万が一、税務調査が入った場合でも慌てることなく対応するために、事前準備を怠らないようにしましょう。税務の問題を未然に防ぎ、安心して事業を運営するためには、信頼できる専門家との連携が不可欠です。困ったときは、ぜひ専門家の力を借りてみてください。

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