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はじめに
「親の遺品を整理していたら、タンスの奥から多額の現金が出てきた」
そんなご相談をいただくことは、実は珍しくありません。
銀行預金ではなく、現金で手元に置いておく「タンス預金」。
防犯上・信用不安の観点から現金を自宅保管しておきたいという考え自体は、決して間違いではありません。
しかし、相続が発生したときにタンス預金の存在を正しく把握・申告しなければ、「申告漏れ」や「重加算税」などの深刻なトラブルに発展することがあります。
本記事では、相続におけるタンス預金の扱いと、税務署に発見されるプロセス、そして正しい対応方法について、相続税専門の税理士が詳しく解説いたします。
タンス預金自体は悪ではないが、申告しないことが問題
タンス預金とは、自宅で現金を保管している状態を指します。
本棚、冷蔵庫、屋根裏、床下、庭の地中など、人によって保管場所は様々です。
現金を自宅に保管すること自体に違法性はありませんが、「相続財産として申告しない」ことが大きな問題になります。
相続税の対象となる財産には、預金、株式、不動産だけでなく、現金(=タンス預金)も当然含まれるためです。
「隠したらばれない」は誤解。税務署がタンス預金を見抜く方法
タンス預金が税務署に見つかる仕組みには、以下のようなものがあります。
相続人の口座への現金入金
相続後、相続人の口座に不自然な現金入金があった場合、「タンス預金を引き継いだのでは?」と疑われる可能性があります。
特に、新紙幣への切り替えが行われた直後などに、旧紙幣でまとまった入金があれば、高確率で調査対象になります。
KSKシステムによる分析
税務署は「国税総合管理システム(KSK)」を活用して、納税者の収入・資産情報を統合的に管理しています。
過去の申告や所得水準と比較して、申告された相続財産が少ないと、自動的にリスク対象として抽出されることがあります。
銀行口座からの不審な出金履歴
税務署は、被相続人の預金口座の入出金履歴を最大10年間遡って調査できます。
死亡前に多額の現金が引き出され、使途が不明なままであれば、税務署は「タンス預金があるのではないか」と疑います。
100万円以下ならばれない?甘い見通しは禁物です
一般的に「100万円未満の現金であればばれにくい」とも言われますが、これはあくまで“調査優先度”の問題であり、
ばれない=問題ない、ではありません。
もしも申告漏れが発覚すれば、
- 無申告加算税
- 重加算税
- 延滞税
といった本来払う必要のなかったペナルティが追加で課されることもあります。
また、家宅調査や長期の税務調査が入るなど、精神的な負担も大きくなります。
「ばれない隠し方」は存在しない
タンスの裏、庭の土の中、天井裏など、どこに現金を隠そうとも、税務署はその現金の存在を「調査過程」から逆算して発見します。
彼らは「怪しい」と思ったら、
- 出金履歴と照らし合わせて残高を推測
- 相続人の生活費や資金移動を分析
- 雑談から“思わず出た一言”を記録に取る
など、想像以上に緻密かつ冷静な調査を行います。
そして、家宅調査にまで発展する頃には、すでにかなりの確信を持っていると考えてよいでしょう。
タンス預金を正しく申告し、安心できる相続手続きを
大切なのは、「タンス預金も相続財産である」ことをしっかり理解し、申告に漏れなく含めることです。
また、「節税したいから」と安易に隠しても節税効果はなく、むしろ将来的に大きな損失や不安につながる可能性があります。
節税をお考えであれば、タンス預金をこっそり残すのではなく、
- 生前贈与の活用
- 生命保険による非課税枠の利用
- 法人化の活用
など、合法的かつ実効性のある対策を講じるべきです。
おわりに|タンス預金に不安がある方へ
「親が多額の現金を持っていたかもしれない」
「申告すべきか分からない現金がある」
「税務調査が怖い」
このようなお悩みがある方は、相続税専門の税理士に早めにご相談されることをおすすめします。
久保税理士事務所では、相続税に特化した初回無料相談を行っております。
相続財産の全体像の整理や申告義務の有無、節税可能な対策など、プロの視点から丁寧にご案内いたします。
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税理士 久保 亮太のプロフィール