建設業会計を理解する鍵!一般会計との勘定科目の違いを徹底解説

はじめに

建設業は他の業種と異なり、長期にわたる工事やプロジェクトが多く、その収益認識や原価管理に独自の会計処理が求められます。そのため、建設業会計では一般会計とは異なる特有の勘定科目が使用されます。今回は、代表的な勘定科目に注目し、それぞれの内容やポイントについて解説します。

建設業特有の勘定科目の解説

1. 完成工事高

完成工事高は、引き渡しが完了した工事に対する収益を示します。この科目は、工事完成基準(完成時に収益を計上)または進行基準(工事進捗に応じて収益を計上)に基づき計上されます。

一般会計上の勘定科目: 売上高

ポイント:工事完成基準を採用する場合、工事が完了するまで収益を計上しないため、未成工事支出金の管理が重要になります。

2. 完成工事原価

完成工事原価は、工事完成時に対応する直接原価(材料費、労務費、外注費など)を示します。

一般会計上の勘定科目:売上原価

ポイント:工事別に原価を追跡することで、収益性の高いプロジェクトとそうでないものを区別することができます。

3. 完成工事総利益

完成工事高から完成工事原価を差し引いた値で、プロジェクト単位での利益を把握するための指標です。

一般会計上の勘定科目:売上総利益

4. 未成工事支出金

工事が完成するまでに支出された費用を一時的に記録する科目です。工事完成時に完成工事原価へ振り替えられます。

一般計上の勘定科目:仕掛品

ポイント:未完成の工事にかかった材料費や労務費などは一旦未成工事支出金として計上されます。

5. 完成工事未収入金

完成工事高として計上されたが、まだ入金されていない金額を示します。債権管理の観点で重要です。

一般会計上の勘定科目: 売掛金

ポイント:一般会計における売掛金にあたり、建設業では請負代金も多額になる傾向が高いため、正確な債権管理が重要です。

6. 未成工事受入金

工事完成前に受け取った代金を計上します。完成時に完成工事高に振り替えられます。

一般会計上の勘定科目:前受金

ポイント:工事が完了し引き渡しがあるまでは一時的に代金を預かっているだけであり、完成工事高として計上しないことに注意が必要です。

7. 工事未払金

工事原価に関連する未払い費用を記録します。建設業では資材費や外注費が該当することが多いです。

一般会計上の勘定科目:買掛金

ポイント:工事に関連した費用に対する勘定科目であり、販売費及び一般管理費は含まれないことに注意が必要です。

建設業会計と一般会計の比較表

1. 売上・収益関連

建設業会計の勘定科目内容一般会計の勘定科目
完成工事高完成した工事に対する売上売上高
完成工事未収入金完成後、まだ回収されていない代金売掛金
未成工事受入金工事完成前に受け取った前金や手付金前受金

2. 費用・原価関連

建設業会計の勘定科目内容一般会計の勘定科目
完成工事原価工事完成時の材料費、人件費などの総費用売上原価
未成工事支出金完成前の工事にかかった費用の積立仕掛品
工事未払金工事に関する未払い費用(資材費など)買掛金

3. 利益関連

建設業会計の勘定科目内容一般会計の勘定科目
完成工事総利益完成工事高-完成工事原価の利益売上総利益

おわりに

建設業会計は、業界特有の複雑な取引やプロジェクト管理に対応するために、一般の会計基準とは異なる独自のルールが設けられています。この中には、売上計上のタイミングや原価計算の方法、さらに使用する勘定科目の扱いなど、細かく規定された処理が含まれます。

正しい会計処理を行うためには、損益をいつどのように計上するか、また適切な勘定科目をどの場面で使うかといったポイントをしっかり押さえることが不可欠です。

弊所では、福岡を中心に北海道から沖縄までの全国を対応しております。

来所又はオンラインによるビデオ電話(Zoomなど)による初回無料相談を実施しております。

また、簡易株価算定を無料で行っておりますので、事業承継を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0925330707 問い合わせバナー 無料相談について