建設仮勘定と未成工事支出金の違いを徹底解説!経理担当者が押さえるべきポイントとは?

はじめに

企業活動の中で、建物の建設や工事に関連する支出を計上する際、「建設仮勘定」や「未成工事支出金」という勘定科目が登場します。これらの勘定科目は、それぞれ異なる性質を持っており、消費税の取扱いや経理処理のタイミングについて注意が必要です。この記事では、それぞれの勘定科目の特徴と、消費税の処理に関する基本的な考え方を解説します。

建設仮勘定とは

建設仮勘定は、自社で使用する予定の建物や機械設備など、建設・製造中の有形固定資産に係る支出を一時的に計上するための勘定科目です。有形固定資産が完成し、事業の用に供した時点で「建物」などの本勘定に振り替えます。

建設仮勘定は、建設工事の発注者が使用する勘定科目であり、主に以下のような特徴を持っています。

対象: 自社利用の建物や設備などの建設中の支出

計上目的: 有形固定資産の完成前に支出を仮計上する

振替時期: 完成し、事業供用を開始した時点

未成工事支出金とは

一方で、未成工事支出金は、未完成の工事に要した材料費や外注費、経費などの原価項目を一時的に資産計上する勘定科目です。この勘定科目は、建設工事の受注者が使用し、工事が完成して引渡しを行った時点で原価勘定に振り替えられます。

未成工事支出金は、建設工事の受注者が使用する勘定科目であり、特徴は以下の通りです。

対象: 販売目的の工事や建設物の製造に係る支出

計上目的: 工事完成前に発生した支出を棚卸資産(仕掛品)として管理する

振替時期: 工事が完成し、引渡しが行われた時点

建設仮勘定と未成工事支出金の違い

両者の主な違いは、その目的と使用する立場にあります。

項目建設仮勘定未成工事支出金
対象自社利用の建設物販売目的の建設物
使用者発注者受注者
振替時期完成・事業共用開始時工事完成・引渡し時
計上目的固定資産の完成前仮計上棚卸資産の原価計上

消費税の取扱い

いずれの勘定科目においても、課税仕入れに係る消費税の処理は以下の2つの方法が認められています。

  • 原則処理

物の引渡しや役務の提供があった日に課税仕入れを計上。

  • 例外処理

工事の目的物が完成し引渡しを受けた日の属する課税期間に一括して課税仕入れを計上。

※継続適用が要件となります。

経理処理のポイント

  • 原則処理を採用する場合

支出ごとに課税仕入れを計上するため、経理担当者は各取引の日付や金額を正確に管理する必要があります。

  • 例外処理を採用する場合

完成引渡日にまとめて課税仕入れを計上できるため、工事進行中の支出を一時的に不課税仕入れとして処理します。継続適用が求められるため、整合性を保つことが重要です。

おわりに

「建設仮勘定」と「未成工事支出金」は、用途や使用者の立場によって使い分けられる勘定科目です。どちらも支出を一時的に計上する点では共通していますが、消費税の取扱いや振替タイミングが異なります。原則処理と例外処理のいずれを選択するかは、企業の実情や経理の負担を考慮した上で決定し、継続的に適用することが求められます。

企業活動における正確な経理処理は、税務リスクを回避するための重要な要素です。専門的な判断が必要な場合には、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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